【第1話】オーストラリア・バイク旅行 – 序章
荒涼とした赤土の大地にまっすぐ伸びるラセターハイウェイ。アデレードからダーウィンまで、オーストラリア大陸の中央を縦断するスチュワートハイウェイから東方向エアーズロックへ向かう道だ。海岸沿いの風光明媚な風景とは一変して土と岩の世界。まるで火星のようだ。すれ違う車も少なく、音といえばエンジンの音だけ。1998年当時、インカムなんてものはなく、友人と二人とはいえ走行中は孤独だ。だがその静寂も心地よく、タイヤから伝わる振動もまた気持ちが良い。そうこうしているうちに前方に見えてきたのは原住民のアボリジニにとって聖地である巨大な一枚岩エアーズロック。現地の言葉ではウルル。徐々に近づいていくとまずはそのスケールに驚愕する。自分は日本の中でも自然が多い場所で育ってはきたが、北の大地のそれとは一味違う。別世界だ。言葉にできないほど心を打たれ、その時の感動を20年経ったいまでもこの目に焼き付いている。この旅の目的はバイクでオーストラリア周ることではあったが、一番の目的地はここに来ることであった。
はじめに
まず、これは20年前の話なのだが、最近、実家が引っ越すということで自室の整理していたら、昔の手帳や資料などが出てきたので、せっかくだからまとめてみようかなと思った次第である。1998年はインターネット黎明期。接続はダイヤルアップ接続。電話回線を使って接続するので、使用時間分電話代が取られるというもの。深夜限定で使い放題の「テレホーダイ」なるものを使ってネットサーフィンをしていた遠い記憶がある。ポケベルが終わりPHSが流行りだした頃の話です。若者たちにはわからない話ですよね。。もちろんブログサービスなんてものはなかったし、何かを残すとすれば、紙です。今では信じられませんけどね。カメラもアナログカメラと写ルンです。祖父の形見のカメラで撮影したものがいろいろ出てきました。
なので、手帳に残されていたものを、これから数回に分けて思い出しながら書いてみようかと思います。未だに記憶が鮮明に残っているので、そこそこ正確にかけると思ってます(美化させている可能生は大いにあるが……)。経費も書き残しているので記載しますが、1998年のオーストラリアの物価は今と違って安かったのでそこは参考にならないかと思います。
旅のキッカケ
そもそもどうしてオーストラリアを周りたいと思ったのかといえば、
水曜どうでしょう 第3弾 サイコロ2 〜西日本完全制覇〜/オーストラリア大陸縦断3,700キロ [DVD]
これを見て単純に面白そうだなと思ったからです。彼らは車だったけど、当時はまだ自動車免許を持っていなかったので、必然的にバイクになりました。
水曜どうでしょうは、今も変わらず好きなんですけど、当時はかなりハマってまして、北海道212市町村カントリーサインの旅の旅の旅はすでに友人と実行済みでして(もちろん全部は行ってませんw)、、ちょうどメルボルンに留学中だったので、せっかくオーストラリアにいるんだからこれはやるしかないと思い立ったわけです。
ローカル番組の企画なんて誰も知らないだろうし、最初は一人で計画してたんですが、たまたま学校の帰りに友人と夏休みどうするかって話になって、一人でバイク旅行しようと思っていると話したら、一人が突然参戦を希望。結局ふたりで行くことになりました。この時まではそんなに仲良くはなかったんですけどね。
バイクレンタル
最初はざっくりとバイクで旅をする、くらいしか考えていなくて。シドニーまで行って戻ってくるくらいの感じ。メルボルンにレンタルバイク屋があるのは知ってたから、まずどれくらい費用がかかるのか聞いてみることにしました。場所はフラッグスタッフガーデンの北側にあったGarners。話を聞きにいくと、1ヶ月借りてもそんなにしないことがわかりました。デポジットと合わせて1,500AUDくらいだった。なので夏休みをまるまる使ったとして30日、1日500km進めば15,000km。この距離だとオーストラリア半周はできそう。
安いなかで一番良さそうな車種は250ccのビラーゴと250ccのSRVだったので、わたしがビラーゴ、友人がSRVをレンタルしました。
いちおう現在の価格を調べてみました。
車種によって様々ですが、
Harley Davidson Street 500だと、24時間で210AUD、28日で3,920AUD+デポジット2,000AUD
28日借りるとデポジットと合わせて約45万(5,920AUD)。
Kawasaki Ninja 300だと、24時間164AUD、28日2,156AUD+デポジット2,000AUD
28日借りるとデポジットと合わせて約31.5万円(4,156AUD)。
両方とも、何もなければデポジット分の約15万(2,000AUD)は戻ってきます。ただ長距離乗ると何もないと言うことはほぼない気がします。自分はウィンカーが壊れたし、友人はチェーンが外れたり、ミラーが壊れたり。。。
その他にヘルメット、グローブ、リアバッグもレンタルできます。
Garnersさん、どうやら移転したようで、現在はシティから少し離れた場所にあります。合わせてシドニー店の情報も記載しておきます。
Garners
メルボルン
住所:382 Victoria Street Richmond Victoria 3121 Australia
電話番号:(+61) 3 9428 9372
シドニー
住所:2/85 Hunter Lane Hornsby NSW 2077
電話番号:(+61) 3 9428 9372
URL:http://garnersmotorcycles.com.au/
他にもレンタルできる場所があるか調べてみましたが、良さそうなのはハーレーとトライアンフに特化したEagleRiderくらいですかね。
EagleRider Melbourne
メルボルン
住所:401 Maroondah Highway Ringwood, Victoria 3134
電話番号:(+61) (0)3 9870 1730
営業時間:9:00〜17:00
シドニー
住所:336 Parramatta Rd Burwood, New South Wales 2134
電話番号:(+61) (0)2 9747 3064
営業時間:9:00〜17:00
ブリスベン
住所:2/2938 Logan Rd Underwood, Queensland 4119
電話番号:(+61) (0)7 3341 1000
営業時間:9:00〜17:00(日〜金)、9:00〜15:00(土)
※日曜日は予約のみ
ケアンズ
住所:84 Buchan Street Portsmith, Queensland 4870
電話番号:(+61) (0)7 4031 2789
営業時間:8:30〜13:00(土・日)、8:30〜17:00(月〜金)
ローンセストン(タスマニア)
住所:468 Westbury Rd Prospect Vale, Tasmania 7250
電話番号:(+61) (0)3 6344 4524
営業時間:9:00〜17:30(月〜金)、9:00〜15:00(土)
URL:http://eagleridermel.com.au/home2/
もともとアメリカでハーレーのレンタルをやっている会社みたい。20年前はなかった気がします。
ルート設定
行程は、メルボルン > アデレード > エアーズロック > アリススプリングス > ダーウィン > ブリスベン > シドニー > メルボルン。とこんな感じでざっくりと決定。これでだいたい1,5000kmくらいになる。とりあえずエアーズロックとカカドゥ国立公園だけは絶対に行くことにして、その他は時間に余裕があればどこか寄ろう、くらいのゆるいスケジュールにしておきました。結局スケジュールはゆるゆるではなくキツキツでした。止まることは許されず、雨の日も風の日も走り続けなければならないというなかなか過酷な旅となりました。水曜どうでしょう好きとしてはかかってこいって感じだったけど、友人にはさぞきつかったでしょう。すまん。
服装
当時着ていた服も残ってました。ミリタリーショップでアウター(M-65)と古着屋でチャンピオンのリバースウィーブ、Levi’s 201XX、靴はレッドウィングのアイリッシュセッター。こんな感じだったと思います。
オーストラリアの9月は春の始まりくらい。北へ行くに従って寒さはなくなるが、メルボルンやアデレード、シドニーより南側はめちゃくちゃさむい。スウェット2枚着ても寒さは緩和できず辛かったです。
出発前に買ったもの
テント(80AUD)、ガソリンタンク(25AUD)、地図(20AUD)。
以上。
人気がないアウトバックを行くわけではないので、そこまで大荷物じゃなくても大丈夫だろうとこれくらいになりました。地図を眺めていると、ガソリンスタンドが500km以上ない区間がひとつだけあったので、予備のガソリンタンクは必須でした。
そして1998年9月12日、出発の時を迎えます。
続く。
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